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緊急提言:パチンコ台新設課税で廃棄量抑制は実現できるか?
(記:研究本部 井崎義治/2000.12.27)
東京都のパチンコ台新設課税を考える
先月、東京都税制調査会は、パチンコ台を新規に設置するごとに新税として一台につき1万円を課税する答申を行った。もちろん、ホール経営者団体やパチンコ産業団体は連名で、反対の意見書を提出した。

しかし、兆円単位の公的資金導入と超低金利政策で国民が受け取るべき利子を、銀行の不良債権処理資金に振替え、手厚く救済されている銀行でさえ、外形標準課税に反対を主張し提訴までしている。このようなことが、一般都民にとっては、新たな課税対象となった業界が課税に反対するのは、利害を守るために反対しているとしか映らない。

むしろ、なぜ反対なのか、恣意的なマスコミの取上げ方を乗越えて、業界団体はその理由を国民の前に明らかにする必要がある。

新税導入で廃棄台抑制は促進されるか
税導入の対象が、莫大な建築廃材を出すにもかかわらず、政府執行部に有力議員を族議員として抱えている建築業界や、廃車や排気ガスを出し続けるにもかかわらず、政府諮問機関に委員を有する自動車産業などには向けられないことはきわめて不公平・不透明であり、この点を指摘する人は多い。ここでは、その論議は他に譲り、東京都が遊技台新設課税の目的としているパチンコ台の廃棄量抑制という観点に絞って、新設台課税について考えてみたい。

都の新税導入目的であるパチンコ台の廃棄量抑制を実現するために2つの方法が考えられる。ひとつは既存台のリサイクルの促進であり、もうひとつはリユースである。

リサイクルについては、ホール経営者団体が、来年3月中に首都圏適正リサイクルシステムを立ち上げ、都・県遊協指定リサイクル業者の手作業で台のパーツを分別し、パーツ(部品)再利用とマテリアル(素材)再利用を開始するべく準備を進めている最中である。パチンコ機の約40%強、パチスロ機の大部分の部品はすでに再利用されているが、これをさらにほぼ100%に引き上げようとしているのである。

今回の東京都税制調査会の答申は、来年3月を目処に不法投棄の防止と循環型経済社会の構築を進めてきている業界団体に対して、業界の努力は不要と言っているようなものである。この時期、東京都が「廃棄台抑制のための新設台課税」を実施しようとするならば現在、「不法投棄の防止と循環型経済社会のリサイクルシステム」の準備を進めている業界団体と納税者に対して、来年度以降に徴収された税金で構築される都のリサイクルシステムの優位性を提示する説明責任がある。

廃棄台抑制推進団体には追加課税ではなく支援を
東京都が目下、業界が準備しつつあるリサイクルシステムより、効果的なリサイクルシステムを納税者に提示する用意がないのであれば、東京都はリサイクルシステムの準備を進めている団体を支援すべきであって、新税導入で経済的負担を課すべきではない。

東京都の目的が、本当に循環型社会の構築にあるとすれば、東京都の目的をすでに実施しようとしている人々に対して、循環型社会づくりが促進されるよう、税控除や規制緩和などの支援策を実施するのが本来のあり方ではないだろうか。その意味で、今回の東京都税制調査会の答申は、石原都知事の就任以来、実効性のある施策を矢継ぎ早に打ち出してきた都知事の方針とは裏腹に、新税の目的説明はいかにも建前であり、税金を取れるところから取ろうとする態度が露見してしまっている。

リユース促進は警察との連携事項
パチンコ台の廃棄台抑制の観点から重要なのは、台のリユースである。これは中古台の流通においても、ホール経営者は全国遊技機商業共同組合連合会を中心に「中古機流通協議会」を設置し、全国的に中古機の健全かつ円滑な流通システムの構築に努力している。しかし、中古機の流通促進の鍵は、不正機改造などができないように、例えば情報技術を駆使して中古機の戸籍情報を管理し、不正台か否かを確認する第三者管理機構の設立など、不正のできないしくみづくりにある。

組織犯罪や技術知識を悪用する者による不正改造が後を絶たない現状で、その犠牲となっているホール企業に、リユース促進を求め、課税負担を求めるのは筋違いである。東京都が狙うリユース促進の観点からも、新税導入の効果は皆無であり、全く意味がない。リユースは、不正のできないしくみ作りと中古機流通体制の整備の両輪で進められるべきである。

東京都はもっと説得力のある新税目的を用意すべき
税金の課税方法や徴収方法にはいろいろあって、議論が分かれるところである。しかし、今回の新税目的とされている「パチンコ台の廃棄量の抑制」は、廃棄量の抑制に対する代替案や効果が示されているわけではなく、新税導入によってその目的を実現できないことは明白である。東京都がもし、新台1台あたり1万円の課税を行うというのであれば、パチンコホール経営者やパチンコプレイヤー、そして納税者である都民が納得のいく、もっと合理的な理由を用意してからにすることだ。

納税者を業種別に分断して、弱い立場や一般納税者が声高に反発しないであろう業種を狙いうちして新税を徴収するやり方は、基本的人権をさえ脅かしかねない。

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